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経済現象の可視化

 このコーナーは、可視化グループのうちの経済に関する部分を集めたものです。「現代経済学の直観的方法」(近日出版を予定)では、金融というものを鉄道のアナロジーとして議論していますが、ここではそれを可視化することからスタートしています。(可視化映像は、本来「準四次大戦史」のものとかなり重複するはずですが、ここには一般性の高いものや、あるいは可視化の際の一般的なルールなどを中心に掲載していきます。

 この「経済現象の可視化」という手法は、それを発展させれば今までは複雑退屈な経済記事でしか表現できなかったことが、可視化映像によるドラマやゲームとして、うんざりするような経済用語の議論抜きで、それ自体をスペクタクルとして楽しむことができるようになるはずです。
 実際経済の何がどんな映像に対応するのかのルールを適切に定めていけば、ちょうど一つ一つがコンピューターのアイコンのような役割を果たし、かなり複雑な経済現象でも一枚の画像にまとめることが可能になっていくわけで、その将来性と効果は実に計り知れないものがあります。

・民間放送メディアの基本構造

これは民間放送メディアの基本構造を可視化した図である。経済の面から見た場合、基本的にその構図は、まずCMが企業を上空から支援する活動が基礎となっており、CMはここでは近接支援(クロース・エア・サポート)機に相当している。
 そして現在の日本の民放での15秒CM1本のオンエアは、航空爆弾2kgの力に等しいと計算される。(この換算は航空爆弾のエネルギーの値と広告費の対応をもとにした計算値である。詳細は「無形化世界の力学と戦略」上巻172ページ参照)

 そして番組本体は、この観点からすると、いかに多くのCMを目標上空まで無事に到達させるかのための、いわば護衛を行なう制空機の役割を担っていると言えるだろう。実際視聴率がほとんどゼロの番組では、せっかくオンエアしたCMが、一つも目標上空に到達できないことになる。
 つまりここに、制空機同士の「情報制空権」の奪い合いが始まるわけで、まさしくそれが苛烈な視聴率獲得競争となって現われるわけである。(ただし情報制空権を視聴率と同一視できるというこの構図は、あくまでも「低高度領域」のそれであり、高高度領域では情報制空権の意味が多少違ってくることには注意されたい。)

 そして1時間番組を1本オンエアすることが、仮想的に何機の航空機を飛ばすことに相当するかは算出可能なので(日本で一日にテレビ全体が飛ばしている仮想航空機数の合計は、45機と計算されている。詳細は同173ページ参照)、視聴率戦争で高視聴率番組がライバル局の番組の視聴率を何%「食った」かの数字があれば、それは仮想的に相手側何機分を食ったかの数字に換算できる。
 要するに手元に視聴率に関する詳細なデータがありさえすれば、制空戦闘機のパイロットたる現代のタレントやスポーツ選手の「仮想撃墜スコア」をすべて算出し、過去の撃墜王たちと並べて比較するということも原理的に可能なのである。

サイバースペースはどこにどんな形で存在しているか


 実のところ「サイバースペース」なるものは、本来は無形化空間の一部と捉えるべきものである。実際前者が比較的最近になって出現したのに対し、後者は少なくとも数十年前(核兵器が出現したころ)から存在しているはずである。
 ではそのように、もしサイバースペースが広大な無形化空間の一部だとすれば、それは一体どこにどのような形で存在しているのだろうか。

 それを解く第一の鍵は、双方向メディアというものの本質にある。特にメディア全般を航空機に対比させた場合、双方向メディアの最大の特性は、どこからでも自由に離着陸が可能だという点にある。つまりそれはちょうどヘリコプターの特性に極めて似通っているのである。

 一方においてインターネットは、情報を直接的に目標地点に(積換えの手間無しで)送れるという点では迅速であるものの、情報の伝播速度(人数/時間)という点では逆に遅く、通常のメディアがあっという間に数百万人の大衆に情報を送れるのに対し、ネットによる伝播速度は極めてゆっくりしている。この点もまた、固定翼機による空輸とヘリコプター空輸の比較によく対応している。

 そしてそのように対応が決まると、今度はサイバースペースがどこにあるかをそこから割り出すことができる。つまりヘリコプターの飛行特性について見た場合、それは地表すれすれの「匍匐飛行」ができるという点が大きな特徴の一つとされている。
 それゆえそこから考えると、固定翼機が活動空域にできない、地上20mから40mの極超低空こそがサイバースペースなのではないかという推論が成り立つことになる。

 つまりサイバースペースはちょうど陸と空の中間的性格をもった領域だということになるが、それはまた、なぜ世の中ではサイバースペースだけが注目されて騒がれるのかの説明も提供することになる。
 つまりその「極超低空」という特殊性ゆえ、サイバースペースは他のいろいろな無形化空間に比べて、陸の生活圏に極めて近い場所に発生していることになり、その存在は突出して日常的に目についてしまうのである。

 そして高度幅がたった20mほどしかないので、インターネットの空間は極めて混雑しやすいという泣き所がある。このようにあらゆる意味でそこはヘリコプターの活動領域に似通っており、逆にヘリコプターの戦術特性を洗い出していけば、インターネットの将来やその限界をかなり正確に予想できると考えられる。

 ところでインターネットをヘリコプターに対応させられるといっても、個人の小さなHPをいちいち大きなヘリコプター1機に換算するのはどう考えても無理がある。
 そこでそれらに対してはもっとコンパクトな(図のAのような)小型の無人ヘリ=RPVを対応させることとし、地上に一定間隔で設置されたビーコンの信号を頼りに、それらがプリセット・プログラムで正確に飛行できるような環境を考える。



 つまりこの場合、そのビーコン設置ができていない場所は飛べないため、そこにはサイバースペースは生じていないことになる。(言うまでもなく低開発国の多くはそういう状況にある。)

 写真は、それを地上から見た可視化映像である。



 そしてそういう仮定を行なうと、今度はそれをもとにしてサイバースペースの仮想体積を計算することが可能になる。つまりまず仮想地球儀の上の陸地面積の値に、それぞれの地域のネット普及率をかけると、その地域でサイバースペースが発生している部分の仮想面積がわかる。
 そしてその厚さは高度幅約20mということなのだから、それらをかけて全部合計すれば、サイバースペースの仮想体積が求められるというわけである。

 その数値を求めることは、恐らくまだ欧米でも試みられていないと思われる。

・山一証券壊滅のメカニズムの可視化


 97年11月の山一證券壊滅は日本全体に大きな衝撃を与えたが、その際に特徴的だったのはこの出来事が、米国のムーディーズなどのいわゆる「格付け機関」が山一のランクを急に下げたため、売りが殺到して加速度的に崩壊するという、今まで見られなかったパターンによるものだったことである。そして以下は、それを可視化したものである。



1・ここではムーディーズなどを、高高度を旋回しながら地上を監視し、目標を照射する「イルミネーター機」という仮想航空機に対応させている。そして巨大機関投資家が投機の巨大な砲弾を撃ち合う苛烈な金融市場の中で、それは大きな役割を果たしている。



2・イルミネーター機が目標を照射すると、適当に狙いをつけて空に打ち上げられていた砲弾(スマート砲弾)のシーカーがそれを捉え、照射目標の方へ向きを変えて落下していく。



3・そして周囲に滞空していた他の砲弾も、やはり同様に一斉に照射目標めがけて落下してゆく。そのためイルミネーター機の照射を受けた地上目標は、短時間のうちに集中豪雨的な売り浴びせを食らって、瞬時に壊滅してしまう。
 日本は高高度での情報制空権をもたず、この高度域まで上っていける機体を事実上保有していないと考えられる。そのためもし照射目標の選定基準に米国的価値観による偏見やバイアスがかかっていて、米国経済の都合の良いように操られてしまっていたとしても、それに対抗する手段を事実上持ち合わせていない。


・バブル崩壊の可視化

 次に、バブル崩壊の際の日本経済についての可視化映像をいくつか公開します。



・バブル崩壊の爆発の閃光!線路沿いに不用意に積まれていた経済戦争用の燃料弾薬が次々に誘爆してゆく。この期間に炎上・消失した日本の資産の時価総額は300兆円を超え、ここから計算するとバブル崩壊全体の仮想的な爆発規模は約0.6メガトンと算出される。(ただし核爆発ほど一点、一瞬に集中されてはいない。)この破壊力によって、日本経済の背後の鉄道網はずたずたに寸断された。



・破綻した金融機関が無残な姿をさらす。後方の補給線が半身不随になったことで、当初無傷だった前線も次第に苦しみ始めた。しかし不良債権の処理は遅れに遅れ、多くの場所で黒焦げになった貨車が今も線路わきに放置されたままになっている。
(なお、実はこの写真には当時の日本の金利が超低金利であることが表現されている。それは貨車が無蓋車であることで示されており、逆に高金利状態は、貨車が厚い天蓋で防護されている状態として表現される。)
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